2010.05.13 Thursday
「HANEGI G-House/山口誠」感想

すこし前に、山口誠による木造住宅のリノベーション、HANEGI G-Houseを見学する機会をいただいたので、感想を書いておきたいと思う。
木造の住宅を改装するのって、独特の難しさがあると思う。特に、ここで改装の対象となっているような、いわゆる在来木造の建て売り住宅は、それ自体がある一定の論理のもとできっちり設計されているとは言い難い、いろいろな箇所が場当たり的に納められて出来ましたというような印象を与える、なんというか「不純な」建物なので、改装する際にはその不純さにつき合わなければならないからだ。
特に、これまでいくつかの山口氏の作品を見てきた印象からは、「在来木造の建て売り住宅」と「山口誠の建築」の相性がいいとはとても思えず…すなわち設計時に上記のような困難さに直面するであろうことが容易に予想できたので、その意味でも、どうなっているのか楽しみな作品だった。
例えば、このような建物を改装するときに、その場所がある一定の論理で組み立ててあるように見せるには「きれいに化粧」するのが一番手っ取り早いのかもしれない。あるいは既存部分と増築部分が完全に分離しているような表現にして、別のものに見せる方法もあると思う。というか失礼ながら、山口氏が在来木造のリノベーションをするのなら、このどちらかのアプローチしかないのではないかと勝手に想像していた。
しかし、HANEGI G-Houseはそのどちらのアプローチとも異なっていた。